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執筆者の写真柴山信広

本人の魂が宿ることで機能する経営理念。

更新日:2021年11月10日

科学優勢社会における起業家の経営理念に古臭い入魂は必要か。



目次

  • 経営理念と企業理念は創業期と事業継承期のどちらにフィットするか。

  • 現場で効果てきめん。言葉が人をつなぎます。

  • 言葉化する前に。創業者の経営理念はどこから来るのか。

  • 自らを先に考えるべきなのか。

  • 利他を中心にするべきなのか。

  • 経営理念は重要だが緊急では無いので手をつけない。

  • 経営理念を考えることは創業者自身のミッションを考えること。

  • 他人の目と感覚という鏡を使い、自分の理念という宝を掘り起こす。



経営理念と企業理念は

創業期と事業継承期のどちらに

フィットするか。

経営理念と企業理念の違いは、と聞かれた場合ですが私はこれが正しいということは無いと思います。ただ起業家、つまり創業者がまだ自分の会社を「これぞ企業である」とたどり着くまでの期間は経営理念、創業理念という言葉がフィットすると思います。次に会社の経営が創業者だけではなく経営に関わる人間が多くなったり、経営責任が創業者から事業継承など手を離れていく時期などは企業理念の方がフィットする感じがしますので、ここではその様に扱わせていただきます。創業期は経営理念とし、事業継承期 / 安定拡大期 / M&A実施時期は、企業理念と考えるとぴったりすると思います。

その上で経営理念を考えて見たいと思います。 最初に経営理念を磨き見える化することはその会社のエネルギーをデザインすることだと考えています。そのエネルギーの中心から多種多様な活動を支える制作物が生まれます。ですからクライアントの経営理念の理念の力はどこから来るのかを考えないとデザインはしづらいのです。 「理念」という言葉にフォーカスして見ると、考え、思想、意図も含まれますが、これでは業界が使うコンセプトという意味合いに近いので、遠からずも当たらずという気がします。私自身はもう少し精神的な気がします。魂、世界、倫理、WILL、自然と意味合いが含まれていると捉えるとぴったりだと感じます。ですからおおよそ私が考える経営理念とは下記の図の様なものです。


この様に「理性と無意識レベルを調整し磨き上げた重要な考え方」と言えます。コンサルとして非科学的なニュアンスもあり明言を避けて通りたいスピリチュアルなエリアです。しかしまたその上で人間という霊性を持った生物が企業を作りあげるのですから当然です。この様に理念という精神性を含む言葉の中身は会社によって自由に定義でき多種多様だと思います。その様に経営理念のエッセンスの大半は当初の起業家や創業者の独自の考えからきているとても特徴あるエネルギーを含むと考えています。ですから創業期の起業家自身のミッションはこれからの経営理念に宿る感情と行動を規定するものだと考えています。それが上記の足し算の文字です。多くの経営者は一風変わっているという事も頷けます。


現場で効果てきめん。言葉が人をつなぎます。

誰のために何をする会社なのかが上記の考えから言葉になります。スローガン、理念、キーメッセージ、企業フィロソフィー、バリュー、行動指針、創業理念など様々です。しかしこの様なお経を一生懸命に考えても意味がないのかとも思っていました。ここに面白いデータがあります。 『中小企業に販売促進は顔の見えるコミニケーションを重視した手法が中心』です。


「顧客との密接な情報交換」「紹介」「見込企業・顧客への飛び込み」という顔の見えるコミュニケーション重視の活動を積極的に行っており、とりわけ事業所・企業向け販売を行っている企業でその傾向が強い。個人消費者向け販売を行う企業は「マスメディア」「ダイレクトメール」といった媒体を活用しているのが特徴である。

※中小企業庁「経営戦略に関する実態調査」2002年11月より抜粋 オレンジの印は筆者

中小企業庁の2002年のデータですが、スタートアップ企業も存在する中小企業の販促手法は相手の顔が見える距離でのコミュニケーションを重視した手法がメインとなります。これは15年前という古いデータになりますが、2002年当時は企業のホームページがかなり整備されてきた時代だと言えます。この結果からわかる様にBtoC、BtoBでも圧倒的にリアルな現場での情報交換の場が経営に活力を与えるきっかけを作り出します。これは、自己紹介、会社紹介が基本になります。ここではおおよそ、名刺交換、会社案内で自社を説明し、次の会話を始めるということになります。そこは同業の方々も大勢集まりそれぞれがなんとか自社を覚えてもらいたいと考えてみる必要があります。 その時に「何をされているのですか」というありきたりの質問の後に必ずや「どういう会社ですか」と聞かれるはずです。ここでミッションや理念やビジョンをさらっと説明できると全く違う結果になることはご存知の通りです。アメリカの大企業の社員教育では「エレベーターピッチ」という短い30秒トークの技術を身につけるトレーニングが行われています。効果が絶大だからです。「どういう会社ですか」とは、「他とどこが違うのですか」ということより「なぜ、やっているのか」という熱意の意味合いで答えると感情が伝わり記憶に残りやすいと考えています。 つまり企業理念や自身のミッションを作り上げる事とは、自分のビジネスの最高のプレゼンテーションの事なのです。 言葉化する前に。創業者の経営理念はどこから来るのか。

では、多くの創業者の熱意や考えをどこら辺でメッセージを固定するのかということになります。当然、会社まで作ってしまおうと考えるわけですから、本来は自分の得意分野が筆頭に上がると思います。またソニーの井深、盛田両氏の様に電気技術の進歩を天命と感じる経営者も多く存在しました。 しかし人々が不便に思っていることを逆算してビジネスに仕上げて行く事も多いと思います。それらを内部と外部で考えると成長する会社の経営理念が見えて来る様な気がします。

ビジネスが細分化されている現在、自分が得意な分野でありながら人の役に立つエリアにチューニングすることが求められていると思います。好きなエリアだけではなく、人々に利益が存在しそうなエリアを事業ドメインのセンターにすることだと考えます。この内部と外部のマージした狭いエリアにセンターを作れるとベストだと私は思います。オンリーワンを目指せます。多くの企業家が利他の精神だといっていることが頷けます。私の経験ですがこのセンターは後で微調整可能でありながらも成長しても長期間ずれさないことが肝心でしょう。


自らを先に考えるべきなのか。

私に相談に来られたあるIT関連のご担当者ですが、その会社は創業から数年でインターネットのサイト制作で成長してきましたが、自分の趣味から、さらなる成長と保険的事業ドメインを考え、全く違うビジネスに手を伸ばしたとのことです。本人の趣味からなんとか進めたいと考えた事業ドメインでした。そのエリアは特別に本人自身は詳しいはずでした。しかし徐々におかしくなり始めました。そのことで組織内も外からも何を目指す会社か解りづらくなり苦労した様子です。結局は小規模の企業が事業ポートフォリオを二つ持つことになり、組織全体は活性化が難しく戻したかったとのことでした。現在は元の一本に絞り込み直し続いています。


利他を優先するべきなのか。

利他の精神に関してですが、知り合いや友人から言われそのビジネスプランに興味を持ち社長になった人もいらっしゃるかと思います。人のために貢献できうるプランを差し出され、共にやりましょう!との気が合うことで事業そのものを受けて進めてしまう方もいらっしゃるかと思います。うまくいく場合も多いと思います。しかし一歩立ち止まった方が良い時もあります。「人のため」を誤解した実例です。 私の知人は超有名国立大卒の知り合いから「利他の精神」を基本としたかなり専門性が高いが市場ニーズは大きいと誰もが思えるビジネスプランを見せられました。本人がそのプランに夢を共有し合意。大金を用意し会社という法的存在の枠作りをしました。しばらくすると当初は顕在化しなかった問題がすぐに起きました。自身の本質からのことでは無いので仕事に熱が入らなく、プランを提示してきた仲間も心がバラバラになり、残った大変な処理を社長がすることに成ってしまったという事例もあります。 出来上がっていれば人々の未来を切り開いただろうにと思うと残念です。最終的にやるのは創業者だということを考えさせられました。まずは自分の内部から発するエネルギーを先に考えることが重要だと思います。その上で「利他の精神」とすり合わせることが重要だと私は考えます。

まずは起業を考えるならば嫌いなもの、合わないものは、必ずと言っていいほど自身のミッションとはかけ離れていると思います。市場ニーズだけをスタートラインで考えても、自分の文化ではないものが熱意を込め長続きできできるわけはないのです。


経営理念は重要だが緊急ではない。だから手をつけない。 自分のミッション。これは人生の中で一番重要な問いです。しかし会社を営んでいても私は明確に経営理念を言葉で表現して来なかった経験があります。経営理念とはお経の様なもので会社には不必要だと考えていました。何故そうなったのかを紐退くためにミッションを掘り当てるために過去履歴をみてみました。 幼い時はオーディオ機材のメカのいたずら書きをしたり、アマチュア無線、科学部、美術部、新聞部、放送部などの文化系を掛け持ちしてきたので、総合的に結果、広告関係のデザインという仕事につきました。最初に就職した会社は、企業戦略と広告戦略を得意とする会社に勤めました。おかげで企画書制作とデザインが両方体験できたわけです。就職以前は右脳がどちらかというと得意な感じでしたが就職後は若干、左脳が活性化した様です。その後は広告代理店の制作に務めるわけですが、大組織と馴染めなかったという残念な経験があります。人間関係に気を使い方向がずれ始めたこととコンピュータに可能性をみていた事もあり退職し私は電脳的美術事務所を作ろうと決心したわけです。

しかし起業当初は仕事の受注に五里霧中で企業理念という重要なポイントは後回しでした。当時のおおよその作業と制作物をスティーヴン・コヴィー博士の第1~第4領域に合わせ今回まとめてみました。ほとんどの作業は左上の重要で緊急なエリアの作業等で大忙し。結果、重要で緊急では無いエリアの「経営理念」は後回しに成ったと思います。

左上エリアは外面的なエリアに分類され、右上のエリアは内面的なエリアとして自身のミッションを研磨し表現するエリアだとその後気がつくことになりました。つまり左上のエリアからは俗にいう型から入ることになり、そこに宿る右上の魂を振り返えり明文化するまでに至らなかったことになります。型から入る日本の組織の典型的パターン※2に陥ることに成っていました。その後は忙しさに追われながらもスタッフは増え考え方や進み方が違う事も発生することになりました。この様に明文化は手を抜いていましたが、大方の事業の方向など普段の話し合いで大まかな経営理念は自身もスタッフにも伝わっていた様に思いますが実際はあまりにも正確ではなかったということです。このことを深く反省しているので、私たちは前ブログの様にどの様な企業でも組織でも理念を明確にと考えています。

※2筆者のCanon Identity in N.Y.の中の「エッセイの抜き出し」から


経営理念を考えることは創業者自身のミッションを考えること。

経営理念という大義は夢や想いです。しかし経営理念の原点は創業者のミッション、熱意からでき上がるので、そこまで遡らなければなりません。これは自分の心理を分析することに繋がります。参考のためにグルジエフの考え、フロイト、ユングのエッセンスも入れて作図したものが下記の図。おおよそですが理念の原型モデルを表してみました。


創業者自身のミッションを見つけて行く行程は、創業者自身がセルフ・リメンバリング※1という「自身は自分が『何』なのかを知ることになる。」に直結します。これは心理学でありスピリチュアルなエリアで、仏教などの哲学に接近します。

  • ※1ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジエフ(George Ivanovich Gurdjieff) 東洋と西洋のを遍歴した心理学者

  • ”私の中には、存在するすべての基本である本質的なエネルギーが存在する。”ザルツマン・Reality of Beingより

  • 明後日は何をしようと考えて現在ただいまを、ちっとも尊く生きていない人がありゃしないか。”中村天風・ほんとうの心より

  • 人生は、心の中で強く思ったことが原因となり、その結果が現実となって表れる。だから考える内容が大切で、その思念に悪いものを混ぜてはいけない。 稲盛和夫の名言より

フロイトやグルジェフの考えでは、つまるところ起業家の感じる仕事への熱意の原点は、起業家の実際の思考・感情・本能からの意識から発生することと考えられます。その実際の意識は個人的無意識から湧き上がり実に霊妙な工程を経て実際の意識とチェックしながら熱意を感じるということになります。これは普段、鏡が無いと自分が見れない様に全く意識はできません。それを感じるためにスティーブ・ジョブスは禅寺に通ったのかもしれません。

私の場合も自分からズバリと自分のミッションを言い当てて腑に落ちることは全くありませんでした。そしてそのまま時は過ぎていきましたが、自分の天命と会社の天命はほとんどイコールだと感がさせられる事が起きました。ここでは具体的なことは省きますが、そのことを通じて上の様な図の考えにたどり着きました。こうしたことを経ていまは自分の癖や考え方、感じ方や物事への対処の仕方、生きるための原理原則は比較的小さな会社では創業者自身の経営理念と直結すると考えています。またそうでなければ苦労する経営に意味は無いし活動が滞ることになるはずです。ただし部分から進める訳ではなく外的環境や関連制度そして利他への貢献を考慮し全体をデッサンする様に大まかに練って行く工程が非常に重要だと考えています。


他人の目と感覚という鏡を使い、自分の理念という宝を掘り起こす。

私のビヘイビアは人間観察とガジェットなどの商品テストです。実はこれは自分では嫌いな所でもあり他人から指摘されなければ気にかけていなっかったポイントです。逆に使えば魅力を発見することに繋がります。また最近の量子力学の様に西洋科学と東洋的思想が結実することに非常に興味があります。

上段の様な過程を経て他の有識者とセッションを繰り返し結実した私の行動指針が、「企業の活力をコンサルとデザインで道を整え 皆様を『サーッ 、いってきます! 』を世に送り出します。」です。少し文章は長いかもしれませんが、これは今までクライアントの成果と自身の成果を振り返り納得でき、またこれからを育むことに大きく役に立っています。それと平行し気持ち遅れて私たちのミッション、ビジョン、バリューが誕生しています。その成果を育てて行くためには私が自らが事業開拓者としてその熱意を見せることが一番でしょう。「理性と無意識レベルを調整し磨き上げた重要な考え方」に基づいた自分のミッションから日々、人として心を高め熱意を注ぎ込むことこそ、強い組織と良いサービスを創り続けて行くと思います。最後に冒頭の式に「思いの熱のアイコン」を足して見たらわかりやすくなりました。

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