経済は大きくても「小さな島国」ともいわれてきた日本。「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」という標語もあった。そのイメージをずっと助長してきているのが、だれもが目にすることが多いメルカトル図法の世界地図。上(北)の方と下(南)の方が拡大されているとは知りつつもソ連(ロシア)やカナダの国土の広さには圧倒されてしまう。特に子どもの頭の中にはあの大きさが、日本の小ささが焼き付いてしまう。
果たして日本は実際にはどれくらい「小さい」国なのだろうか。世界の国々の中でどんな位置にいるのだろうか。政治経済、資源、環境、辺境・領海問題などのグローバルな問題が噴出するこの機会に、インフォグラフィックスで答えてみようと思った。参考資料はウィキペディアの「国の面積順リスト」と「国連加盟国リスト」。事が国と国の問題だけに領土のとらえ方がまちまちなので、あやしげなところは最も小さいデータを採用した。
まずは棒グラフで各国の面積を表現してみる。日本は国連加盟193カ国中91位。実は真ん中よりも少し大きい部類に入っているのだ(!)。ただし1位のロシアの棒の長さはやはりものすごく長く、日本の約45倍になる。
これは面積の大きさを棒の長さで表して比較しているのだが、ここには長さと面積の関係で何かバイアスがかかっていて、面積の差が強調されすぎているような気がしてきた。2倍の面積の正方形の1辺は、もとも正方形の2倍ではなく、√2倍(1,4142倍)だ。面積は面積のまま比較してみたい。まずは1位のロシアと日本の面積を、棒グラフにしたものと、正方形面積に置き換えたもので比較してみた。印象は少し違ってくる。
こうなると今度は棒グラフではなく正方形の面積で、国土のランキングを表現してみたくなった。棒グラフよりは正方形で面積の比較をする方が。より実態に近い差異を認識できることになるのではと思うようになったからだ。そうして全193カ国の面積比較図ができ上がった。(余談だが、上位6カ国が他を圧倒する広さを誇っていることに気づき、驚いた。)
こうしてみると国ごとの差は、棒グラフで見たものよりも小さく感じられるようになったのではないだろうか。それでも大きい国は確かに大きいのだが、その差はデジタルにではなく、実態をともなう面積の差として認識できるようになった。
最後に、原点にたちかえり、日本はどれくらい「小さい」のかを、世界をリードするG8各国の中で調べてみた。ドイツ、イタリア、イギリスはいずれも日本より「小さい」。加えてG20各国の中での順位も図にしてみた。(G20にはEUが含まれているので19カ国で比較)こうしてインフォグラフィックス「日本はどれくらい『小さい』国?」が完成した。
最近国連が認めた日本の排他的経済水域とそれに異議をとなえる中国のニュースなどに接し、海洋国家としての日本は、また異なる顔を見せることだろうと思った。次に機会があればこの辺りもテーマにしてみたい。
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