SHIBAYAMA
WORKS
NTTグループ企業全体の新たな宣言
あなたに情報のちから。
課題と解決:NTTのデジタル情報化時代の幕開けとグループ力のアウターとインナーコミュニケーションはどうするべきか。外へのメッセージはどうあるべきか。電気通信事業体としてのNTTと移動体業務をも含むNTTグループ全体へのこれからの推進を伝えたいとのことでした。これまで設立してきた既存の会社の整理、再編、統合、と再編成に向けた検討と改変を進める企業グループ全体の宣言がNTTアドより強く伝わる表現を目指しました。
新時代の到来を告げる企業メッセージ。「新しい状況に踏み込む事」を表す事で社内と社外はシンクロする。
広告はそれ自体で完成するものではなく広告を見る人が完成させるもの。その上で見る人はデザインを読み取り、意味を作り、目に触れたビジュアル、コピーによりカスタマーのイデオロギーと象徴的記号の表現が結合する場を形成します。このようにメッセージがどのように内部で取って代わるかを考慮しゲートを開けて行かないと届きません。ここでは若さ、不思議、謎を判断するコミニケーションする感情エリアに訴えることで企業の新時代の幕開けを伝えました。情報です。このデザインは企業の旗頭になり4マス媒体はもちろん空港、駅等に掲示され、我々はかんでいないけれど次にTVCMのコンセプトになり組織全体とカスタマーはシンクロしました。
情報通信と移動通信で
日本と世界の距離を縮める。新しい産業構造へ。
これが課題
もともと日本の電報と電話からスタート。だから頭文字でNTT。
そして。
NTT携帯電話、スタート。
表現コンセプトへのアイデアの一つ。
「あなたの遠くが近くに。」
悪くはない。
しかし距離感や個人専用そして情報がうまくイメージできてはいない。
企業がなぜ進むのか、どこに向かうのか説明できるのか?
この推進力をカスタマーや組織に伝えきれない。
情報をもっと身近に描き出したい。心を描きたい。
情報とはどう役にたっているのか。どうなっていくのか。
明るい未来?
安心、心地よい未来?
薄っぺら。ビジョンが見えてこない。
情報通信技術が広げる未来? 弱い。
企画やコンセプトには沿っている。
しかしビジュアルをそのまま形にすると何かが足りない。いや違う。
” なぜ ”するのか重要なメッセージが見えない。
ふり出しに戻って考える。
私たちはどこから来たのか?
情報に何を助けられて来たのか?
太古から1人では生きていけない。
このキャンペーン プロジェクトのクリエイティブ ディレクター情報工学研究所
所長 松岡 正剛氏の強烈な発言。
クローニング(複製)していく文字情報こそがイノベーションか?
見えないモヤを形にできるか?
今まではなかなか触れることができなかった太古から隠されていた謎の預言書のように宇宙の真理と世界感を狙う事を模索し、その世界観にたどり着きました。このことで、まだ知らない情報にタイムスリップしアクセスした人間の瞬間の驚きと感動がテーマというビジュアルコンセプトを導き出しました。今回のミッションではグループ企業が前進し繁栄するという事を目指さなければ成りません。これは普通はフルカラーでポスター表現構成を考えるかと思います。しかし、あえて全体から伝わる事が必要だと考え直しました。それからフルカラーは十二分ある。だから一旦色彩あるセピアを目指す。
「情報がビッグバンを起こし産業を進化させた。
それは書籍の登場。」
Produced in 1991
情報を表すタイポグラフィはこんな感じか。
試しに創ってみる。
デジタルでアナログ。
太古からの秘密の図書館に踏み入れた少年はどうだろうか。
アレクサンドリア図書館や死海文書のような。
しかし、本そのものはいらない。情報だけにしたい。
そうだ。そんな空間を目指す。
いっぽうディテールとして見たことの無い原語と記号が大切だと考えました。アレクサンドリア図書館のような空間はどうだろうか。それらを無重力の中で漂い主人公が迷い込んだ世界を作り出したいと考えました。またタイポグラフィーやエレメントは中世の「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」からいくつかのの引用をしました。もともと時祷書は祈りへのメッセージが中心となっていてグーテンベルグの活版前です。パピルスの製法から伝わる紙質も重要なファクターだと思いヨーロッパ中世の実際の本も探し手に入れ質感のベースに使用しました。死海文書のように。またその情報世界を探検する子供は古き良き時代の学徒としての象徴として開襟シャツが重要だと思いました。クライアントへのプレゼンのラフは下の通り。
プレは通ったものの当時はデスクトップでのほぼフルCGということもあり異常なほどの緊張感を周囲に隠し心に鞭を打ちながらも乗り越えて行ったのを覚えています。ラフを見ていただけるとわかるように、まだここではキャッチは絞り込まれていませんでした。
決まったラフ。
3Dの夜明け。自分で全てやるしかない。
当時はオタクと周囲から言われながらも、
確実に前進してPCとデザインの融合を目指す。
このラフの世界観の折り重なるファクターをシンプルに表現する必要があり、当時それまでの一定の表現の権威を持った一流カメラマンを起用してもその写真では伝わりきれないと考えました。また国内にはこのバーチャル空間が作成できる専門職が存在していませんでした。自分自身でいち早く発表された国産3DソフトのShadeを極めるべく表現技法として取り組みました。結果、当時では黎明期であるパソコンの3DCGと新進気鋭の写真家の融合表現が可能になりました。
また未開発なプリンティング領域としてデジタルとオフセット印刷を繋ぐ工夫が求められ、非力なMacのPICT画像と当時画像合成で独占していたイスラエルのサイテックスのフォーマットとフィルム出力会社と印刷会社の革新的作業工程への架け橋を努めました。フロッピーディスクとオープンリールテープのやりとりが始まりました。
しかもイメージデータ形式やマックとサイテックスというように機材のプラットフォームが違うのです。今は考えられないですが当時を振り返ればかなりの問題点を乗り越えて来たと思います。
この任された世界観の表現「あなたに情報のちからの広告」は国際エアーポートに大きく掲示されるなどまた企業CM(他の制作会社)も加わりNTTが向かう方向がインナーにもアウターにも新しい門出の宣言として十二分に役目を勤めたと思います。
NTTの新たな地平線を見据えた企業グループの表現。
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業界・業種 1991 NTTグループ 電気通信事業
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エリア インナー&アウターコミュニケーション・ツール
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ジャンル 広告全般、駅ばり媒体 屋外アドボード 新聞雑誌媒体(後にTVCMの骨格に。別会社)
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プロジェクト期間 約3か月
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スコープ 表現手法開発/アートディレクション/デザイン/CG/撮影(カメラマン宇田氏) / 印刷技術確認開発
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プロデュース NTTアド CD:編集工学研究所所長 松岡正剛
現在、自立的なOODA等が求められ始めている。
Produced in 1991
Produced in 1991
Produced in 1991
レンタル写真より
レンタル写真より
次の年の1992年
Produced in 1992
1992年の動画がYoutubeに存在しました。このように1991年のアイデアーは使われました。残念ながら1991年の少年の動画は見つかりませんでした。
client: 1992 NTTグループ
project: 企業広告
agency: NTTアド
mission:情報時代の広がりと活動